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花を青色に化粧するアントシアニンの有機酸による修飾メカニズムを解明しました ―紫から青へ―

2014年03月03日 更新

国立大学法人東京農工大学 大学院工学研究院生命機能科学部門の小関良宏教授と佐々木伸大助教(佐々木助教は現在、岩手生物工学センター)の研究グループは、愛媛県農林水産研究所および南九州大の山口雅篤教授との共同研究で、デルフィニウムが青い色を発色するために必要であるアントシアニン7位の有機酸による修飾の生合成過程を明らかにしました。

この生合成過程には、2種類のアントシアニン修飾酵素が働いており、一つは有機酸グルコースを有機酸供与体とし、もう一つはグルコース供与体として、アントシアニンに有機酸とグルコースを一分子ずつ順々に付加していくこと、そして1つの有機酸グルコースが有機酸供与体とグルコース供与体という1物2役を果たす鍵化合物であることを明らかにしました。これらの酵素遺伝子を遺伝子導入することによって、カーネーションやバラにおいてもデルフィニウムのような真に青い花を咲かせる可能性が開けました。

本研究成果は植物科学分野で最も権威ある学術誌である The Plant Cell 誌(5年インパクトファクター、10.125)の2013年10月31日オンライン版で公開されました。

現状

植物の花の色は橙色~赤色~ピンク色~紫色~青色など多種多様ですが、これらの色はアントシアニンと呼ばれる植物色素によって発色しています。

アントシアニンは、その基本骨格が出来上がった後に糖や有機酸などが結合することで安定的に発色します。一般にアントシアニンの基本骨格は6種類存在しかないのにかかわらず、植物ごとにアントシアニンに対する糖や有機酸の結合の位置あるいは数が異なっているため、私たちの目には多種多様な色として楽しませてくれます。

6種類のアントシアニン基本骨格のうち、デルフィニジンと呼ばれる基本骨格が最も青に近い色をしており、これを合成する酵素遺伝子を持っていないカーネーションやバラにこの遺伝子を導入することで「青いカーネーション」「青いバラ」が産み出されました。

しかし、その色は真の青色を発色するまでに至らず、実際には紫色です。

一方、自然界に存在する青色の花は、デルフィニジンを基本骨格とするアントシアニンを持つことに加えて、それぞれの植物種が自然界の中でさらなる独自の一工夫を行うことで真の青色を発色しています。

その中で、デルフィニウムやサイネリア、桔梗は、アントシアニンの7位に複数の糖と複数の有機酸を結合し、これが折りたたまれて基本骨格を包み込む形になって青色を発色させます。

青色デルフィニウムが持つアントシアニンは、3位にグルコースとラムノースの二つの糖が結合しており、7位の修飾の糖部はグルースのみによって構成され、有機酸は、p-ヒドロキシ安息香酸(pHBA)のみによって構成されています。

近年、東京農工大学の小関教授と佐々木助教が、デルフィニウムにおけるアントシアニンの7位にグルコースをつける転移酵素 (AA7GT)遺伝子の単離に成功し、これまでに報告されていた糖結合酵素とはまったく別の種類であることが明らかとなりました。

また、AA7GTがグルコースをつける際の供与体が、pHBAとグルコースが結合した有機酸グルコースの一種であるp-ヒドロキシ安息香酸-グルコース(pHBG)であることも明らかとなりました。

しかし、AA7GTが触媒した後における、pHBA修飾酵素遺伝子やグルコース修飾酵素遺伝子についての報告は無く、アントシアニン7位の有機酸による修飾の生合成過程は未解明でした。

研究成果

今回、研究グループは、計三つのアントシアニン修飾反応とそれを司る酵素とその遺伝子を発見しました。

そして、その反応過程において、今まで役割が漠然としていた有機酸グルコースの機能を明らかにしました。

青色デルフィニウムのアントシアニンを作る細胞から抽出した酵素液に、pHBGと3位と7位が糖で修飾されているアントシアニンを混ぜて反応させることで、まず7 位に結合しているグルコースにpHBAが結合し、次にそのpHBAに二つ目のグルコースが結合し、そして、この二つ目のグルコースに対してさらにpHBAが結合します。

AA7GTを含めて計四つのこれらの反応には、pHBGが必要不可欠であり、有機酸グルコースは、アントシアニンの有機酸と糖による修飾において、HBA修飾酵素とグルコース修飾酵素の共通の供与体「双性供与体」として使用されるということを明らかにしました。

さらにこの三つの反応を触媒する各々の転移酵素遺伝子を選抜することに成功しました。

今回明らかになったメカニズムを利用して、新たな青色花作出アプローチを提案するとともに、真に青い花の作出が期待されます。

さらに当グループはデルフィニウム萼片において発現している遺伝子の網羅的解析に成功しており、新たな花色を産み出す候補遺伝子はもとより、「花持ち」に関係する遺伝子などをマーカーとして従来育種法に応用することで、さらに品質の高いデルフィニウムが育成されることが期待されます。

東京農工大学のプレスリリースは[こちら

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