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【昆虫生態学研究室の研究】南方性侵入害虫のキオビエダシャクの生態が解明されました

2018年09月21日 更新

昆虫生態学研究室で行ってきたキオビエダシャクの越冬生態の研究が昆虫学の専門誌の一つ、Applied Entomology and Zoologyに掲載されました。

Yoshinori Shintani, Yoshikazu Kato, Takeo Saito, Yuji Oda, Misato Terao, Keisuke Nagamine (2018) Maladaptive photoperiodic response in an invasive alien insect, Milionia basalis pryeri (Lepidoptera: Geometridae), in southern Kyushu, Japan. Applied Entomology and Zoology 53: 343-351  

キオビエダシャクは、濃紺の地に濃い黄色の帯の模様の翅を持つガです。ガにしては珍しく昼行性ということもあり、とても目につきやすい種です。幼虫は生け垣としてよく植栽されているイヌマキ(「一つ葉」と呼ぶこともある)の木の葉を食べる毛虫で、駆除を怠ると膨大な数になり木を枯らすほど食害します。春から秋にかけて4回ほど発生し、特に秋に向かうほど個体数が増えるように見えます。庭にイヌマキがある家の人は、木を揺らすと大量の幼虫が糸を垂れて落ちてきて驚いた経験があるのではないかと思います。このガは、元々東南アジアなど南方にしか生息していませんでしたが、年々分布を拡げ、今世紀に入って九州南部(鹿児島県や宮崎県南部)に侵入してきました。南九州大学が宮崎県北部の高鍋キャンパスから南部の都城キャンパスへ移転してきた当時、多数の成虫が町中を飛んでいるのに驚かされました。しかし、ここ数年はパッタリと見かけなくなりました。  掲載された論文では、飼育実験によってキオビエダシャクには他の温帯の昆虫と同じように季節的に変化する環境要因(温度や光周期)によってどの季節をどのように過ごすかという生活史調節のメカニズムがあることを明らかにしています。しかし、野外観察の結果と合わせると、このメカニズムが侵入先の九州南部の温度や光周期の季節的変化と適合していないように見え、その結果、不時発育(例えば、真冬でも成虫が発生してしまう)が起きるなど適応不全となっていることを指摘しています。つまり、気候が違うところにいきなり入ってきて生活しようとしても無理があったということです。生活史を調節するメカニズムや耐寒性に進化が起きない限り、キオビエダシャクは九州南部で安定して暮らすことができずに一時的な大発生と衰退を繰り返すのではないかと予想されます。 また、「昆虫と自然」(北隆館/ニューサイエンス社)の9月号(pp.31-34)にもキオビエダシャクの越冬生態についての解説記事が掲載されています。 ・九州南部に侵入したキオビエダシャクのにみられる光周反応の適応不全(新谷喜紀) ※この研究は「宮崎銀行ふるさと振興基金」の助成を受けて行うことができました。


キオビエダシャクの成虫

イヌマキの葉を摂食中の幼虫
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