南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

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先生!おじゃまします。「園芸学科・土岐健次郎先生」

土岐健次郎教授:「青」に魅せられた研究者:1946年神戸市生まれ、岡山大学農学部卒業後、千葉大学園芸学部修士課程、九州大学農学部博士課程へ進む。九州大学農学部助手を経て82年南九州大学に講師として赴任。現在同大学教授(花弁園芸学)園芸学科長。花の色素に関する研究を主とし、これまでに「花弁の花色と含有色素の調査」「花弁の花色変異機構の解明」などのテーマで多数の論文を発表。

黄色いチューリップはなぜ黄色い?

先生のご専門である「花色と色素の分析」というのは、具体的にどんな研究なんですか?

例えば同じチューリップでも、赤、白、黄色といろんな色がありますね。この色を決定する要因のひとつが「色素」なんです。黄色いチューリップは、どういうメカニズムで黄色くなるのか。そのメカニズムを解明し、新しい花の色を開発したり、栽培方法を確立するという研究です。

黄色いチューリップは、なぜ黄色く咲くんでしょうね。

「カロチン」という色素が関係しています。最近よく耳にすると思いますが、カボチャなどに含まれている「ベータカロチン」というのも、カロチン色素の一種です。黄色い花色には「フラボノール」という色素も関係していて、この濃度が高くなるほど、黄色に近づきます。

色素のメカニズムがわかれば、いろんな色の花を作ることできる?

そうですね。例えば、白いキクをもっと真っ白にしたいなら、先ほどのフラボノールを合成しないようにすればいい。最近では園芸の分野でも品種改良が進んでいますが、私たちはその基礎となる部分を研究しているわけです。

「青」に魅せられて

先生が「色素」に興味を持つようになったきっかけは?

修士課程に進んだ千葉大で、担当の先生が色素を専門にしていました。岡山大では開花に関する研究をしていたんですが、そこで色素と出会いました。最初に手がけたのは「青いバラ」を作る研究です。やってみると、実に奥が深く、分からないことだらけでした。研究の面白さを改めて知ったのもこのころです。

そういえば「赤いパラ」はあっても、「青いバラ」はないですよね。

青に近い藤色とか、赤紫はあるんですが、本当の青というのはないんですね。ある民間の研究所も「青いバラを5年以内に作る」と公言して研究を始めたんですが、未だにできていません。これができたらすごいことです。

パラ以外では、どんな研究を?

今やっているのは、サルスベリの青を作るという研究です。ここ7~8年続けているんですが、基礎的なことは解明できて、後は応用という段階です。他には、シネラリア、ブロワリア、ホテイアオイなどもともと青い植物の研究ですね。ここで解明したメカニズムをバラやサルスベリなどにフィードバックさせるわけです。

先生の研究は「青」というテーマでつながっていますね。

青のメカニズムは、複雑で面白いんですよ。私が以前、サルスベリに関する研究を発表したとき、中国の研究者から「サルスベリの青は自分が作ってみせる」と挑戦状が送られてきました(笑)。研究する者にとって、青はそれだけ魅力的だということです。

研究以外でも植物から学ぶことは多いんですよ。

 

座右の銘というわけではないんですが、「無名有実」という言葉が気に入っています。「有名無実」という言葉を自分でもじったんですが、が癖には、名はなくても実(中身)のある人間を目指してもらいたい。今の学生たちは、多くが周りの手厚い保護のもとで育っています。ちょっとうまくいかないと諦めてしまいがちです。逃げないで、とにかく最後まで自分がやるべきことをしてほしい。いろいろやっていると自然の法則が理解できるようになり、あらゆる面で応用が効くようになる。

学問を追究すると同時に、人間性を向上させてほしい、と。

研究だけでなく、そこに至るまでの家庭を大切にしてほしいですね。色素の研究をするにしても、その前に種をまいて、植物を育てなくてはならない。植物に関するあらゆることを知って、初めて色素の研究ができる。研究以外でも植物から学ぶことは多いんですよ。

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【銀のたま】
表面はアルミホイルで、中にはティッシュや針金が詰まっている、通称「げんきだま」。げんきだまに手を当てるとげんきになるのだとか。
【お手製の弁当】
昼食は、奥様が毎日作ってくださる愛情たっぷりのお弁当。お弁当の中身は・・・知りたい方は研究室へドウゾ!?
【花卉園芸新聞】
知る人ぞ知る、業界専門紙。さすが研究者ってカンジでしょ。
【3kgのダンベル】
昔から体を動かすのが好きだという先生。研究中に疲れたとき、リフレッシュしているそう。

ゼミ生に聞いてみました。土岐先生の魅力。

村山尚義さん(園芸学部4年/大分・豊府高校出身)
村山尚義さん写真

授業は明快で、難しい言葉もわかりやすく解説してくれます。知識が豊富で、どんな質問にもばっと答えてくれるところはさすがです。愛妻家・子ぽんのうで、休日には研究室に奥さんと子ともを連れてきますよ。

深山祥代さん(園芸学部4年/福岡・久留米築水高校出身)
深山祥代さん

ゼミでは、それぞれが違う花の研究をしていますが、どの学生にも丁寧に指導してくれます。新歓コンパの2次会で、先生がカラオケで歌われた「犬のおまわりさん」が忘れられません。

石原幸子さん(園芸学部4年/岐阜・加茂農業高校出身)
石原幸子さん

授業が終わった後でも、私たちの質問につき合ってくれる優しい先生です。無口だけど、時折ポソッと言う一首に重みがあります。私の恋の悩みに自分の恋愛経験を交えて話してくれたときはうれしかったです。

こんなことをやっています。
~土岐ゼミ(観賞園芸学第二研究室)の活動内容~

前頁インタビューにもあるように、土岐先生の専門は花の「色素」に関する研究。専門的には「様々な花卉について、花色と色素の分析と交雑実験を行って、新しい花色を持つ品種育成の道筋を示し、花色の発現能力を十分に生かす栽培法の確立を目指す研究」となる。つまり花の色を決める「色素」の仕組みをひもとき、新しい花の色の開発に役立てるというものだ。

現在、土岐ゼミの学生は、それぞれが花の種類は違うが、全員が「色素」をテーマに研究している。ちなみに、登場してもらった学生3名が研究している花は、村山さんが「ファセリア」、石原さんが「メドウセイジ」(サルビアの一種)、深山さんが「トルコキキョウ」の色素分析。これらはいずれも青い花で、青に魅せられた土岐先生の弟子ならでは(?)の研究テーマだ。

 

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