南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

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先生!おじゃまします。「園芸学科・山本友英先生」

生命とテクノロジーのハーモニーを模索する山本友英教授

園芸学部 園芸種苗生産研究室
1932年 東京生まれ。東京大学農学部卒業、農学博士。
現在、南九州大学で園芸種苗生産学、植物生理学、栽培原論の講義を担当。

人と自然に貢献する技術

園芸種苗生産とは、どんな分野ですか?

文字通り園芸植物の種や苗を生産することです。植物は種子や株を分け、接ぎ木、挿し木などの方法で増やせますが、私の研究室では組織栽培による大量栽培の研究をしています。

組織培養は植物の葉や茎の一部を切り取って、その組織を試験管の中で人為的に培養し、苗にする方法です。挿し木に近いのですが、切り取る組織が非常に小さくてすむので、一度に大量の苗を作ることができるのが利点ですね。

例えば、病気に強いウイルスに感染していない、花や果実をたくさん付けるなどの優れた特質を持った優良な苗があるけれど、需要に供給がおいつかない場合、あるいは種子では非常に増やしにくいといった場合に、最も適した増殖方法が組織培養なんです。

研究室ではどういった植物を研究しているんですか?

大きく分けて2本の柱があります。一つは、今説明したように、生産者が必要としている優良苗の大量増殖。南九大に赴任して15年目になりますが、その間にピーマンやサルスベリ、ツワブキ、ルビナスなどの15種類の野菜や花の自然環境の悪化や人為的な環境破壊などによって絶滅が危惧される植物の大量増殖です。

これまで、湿原に特有のサギソウ、ヒメノボタン、ハエトリグサなどの5種類の増殖に成功しました。現在、ハエトリグサは観賞用鉢物として年間6万本も出荷する農家もあるくらいですから、生産者の役にも立っていますね。

遺伝子の多様性を受け継ぐオールドバイテク

組織培養も一種のバイオテクノロジーですよね?

そうです。植物のバイオテクノロジーには2種類あって、組織培養はオールドバイテク。遺伝子組み換えのほか、化学薬品や電気刺激による細胞融合などをニューバイテクと言っています。

バイオテクノロジーというと、最近は遺伝子組み換えが真っ先に思い浮かぶでしょうが、ニューバイテクはまだ研究途上の技術。オールドバイテクは伝統的に確立された技術ですし、オールドでもまだまだやれることはたくさんあるんですよ。

先生の最近の研究から何かトピックを?

南九大のある高鍋町には高鍋湿原があります。そこに自生していたサギソウの個体数が激減したので、数年前に湿原のサギソウから種子を採って研究室の培養容器内で大量増殖し、湿原に戻す研究を始めました。

サギソウを戻した翌年の夏、湿原に通い続けて開花数を調べてデータを集計したら、開花日のバラツキが自生種のものと見事に一致したんですよ。これは無菌培養から増殖したサギソウが、自生種の開花に関する遺伝子の多様性を受け継いだことを意味します。種の保存だけではなく種の形質の多様性を保存できた。

この体験を通して、私は自然と人間の共存とは何かを言葉の上ではなく、実際に分かった気がしました。

これから南九大を目指す人や先生の下で学びたいという学生に向けて、メッセージをお願いします?

人に対しても自然に対しても、その存在を素直に認め、共感できる心をぜひ持ってほしいですね。相手の存在が自分が生きていく上で必要だと認めることは、詰まるところ共生していけるということです。そのためには、打ち込めるものを、1つではなく、2つ以上持つといいと思います。

私自身、科学研究という仕事の他に音楽活動をやっていて、そのおかげで人間らしく生き生きとした人生を送ることができると思っています。何のために生きているのか、何のために勉強するのか、それは人と人との関係がないと見えてきませんから。

ゼミ生に聞いてみました。山本先生の魅力

古賀荘悟さん中尾安里さん清田和徳さん
山本ゼミの活動内容 ~ 園芸種苗生産研究室】

園芸作物の生産量や収益率アップ、特色ある産地づくりなどを目指して、園芸植物の高品質苗の生産と育苗の自動化に対する社会的要請が高まっている。

山本ゼミでは、こうした動きを受けて、組織培養による優良苗生産を研究。同時に絶滅危惧植物の大量増殖の研究も行っている。今回登場してもらった学生たちのテーマは、古賀さんが「ルピナスの組織培養による大量増殖」、中尾さんが「ヒメノボタンの大量増殖」、清田さんが「デザート・ピーマンの大量増殖」。ちなみにデザート・ピーマンは、オーストラリア原産のマメ科の植物。花の形状が特殊で、種子では増えないという。

また、山本ゼミではゼミ生の研究成果の公開発表会を毎年開いているのも特色。大いに学生たちの研究の励みとなっているようだ。

山本先生って作曲家なんです!!

オーケストラと楽譜の画像

自作の「交響曲第二番」の楽譜。2003年3月30日、宮崎県民民芸祭の一環として県立芸術劇場のアイザック・スターンホールで開かれた「宮崎作曲協会20周年記念コンサート」では、自らオーケストラのタクトを振った。

山本先生は大学生のころから独学で作曲を始め、現在に至るまで、長年にわたって交響曲や劇音楽、合唱曲などの作曲を手掛ける作曲家なのだ。曲は自然をモチーフにしたものがほとんど。1995年には、宮崎日日新聞音楽コンクール作曲部門最良賞、2000年には宮崎日日新聞賞文化賞を受賞した。宮崎作曲協会で毎年新作を発表し、高鍋ファミリー合唱団の代表も務めている。

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