南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

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先生!おじゃまします。「食品健康学科・寺原典彦先生」

寺原典彦教授化学を応用して食と健康にアプローチ

健康栄養学部食品健康学科 食品機能化学研究室
宮崎県生まれ。宮崎大学教育学部卒業後、金沢大学院薬学研究科(修士課程)を終了後、製薬会社に研究員として勤務。1991年、九州大学農学部より、アシル化アントシアニン色素に関する研究で農学博士号を取得。有機化学、食品分析学、食品機能学、食品機能利用などの講義を担当。

科学と生理学で食品研究

食品機能科学って何やら難しそうですが、どんな分野なのですか?

食品健康科学では食品化学に関する基礎研究を行うとともに、食品の製造や加工など、実用化に向けての研究も行っています。

私の研究室では「化学を食と健康の研究に役立てたい」という観点から研究がスタートしました。一言で表せば、食品の「健康維持機能成分」の研究を行っている、ということになります。健康維持機能成分とは、あくまでも健康を維持し、生活習慣病を予防するような食品成分のことです。このような分野は「食品機能(化)学」という新しい学問領域に属します。病気になってしまったら、その治療は薬学や医学のテリトリーになりますね。

研究はどんな風に進められるのですか?

大きく分けて、二つの段階があります。

まず、食品中の栄養素やそれ以外のものなど、さまざまな成分からターゲットをしぼりそれらが何であるのか、科学的な分析手法を使って分子構造や性質を調べます。成分の素性が分かったら、次はそれらが実際にどう効くのかという機能性を調べます。まず試験管内の実験でめどをつけます。

次に、培養細胞、微生物、動物などで機能性を確認します。そして最終的にはヒトで行うことになります。生物やヒトでの試験となると私の研究室だけでは難しいので、他の生命科学・医学系の研究者と共同研究することになりますね。成分の物質面とそれをヒトが摂取した時どう機能するかということ、つまり科学と生理学の両方が分からないと、健康維持食品としての実用化に結びつかないんですよ。

食品の色素が持つ機能性に着目

現在、ターゲットにしている成分は?

宮崎は全国有数の食糧生産地です。宮崎産の食品で特徴的な機能成分を持つものは何かないかと探した結果、たどり着いたのが紫甘しょ(サツマイモ)でした。普通の甘しょと違って鮮やかな紫色をしていて、研究の結果、その色素がポリフェノールの一種の「アントシアニン色素」と分かりました。さらに、体内の活性酸素を消去してガンや老化を予防する坑酸化性が非常に高く、細胞のガン化や腫瘍を防ぐ坑変異原性もかなり強いことが分かりました。最初に紫甘しょに着目したのは20年ほど前でしたが、当時は全然話題にもなっておらず、品種改良されたばかりで宮崎でも珍しい作物だったんです。

研究を始めたら面白くなり、色素シリーズで行こうと決めました。

色素は目に見えて分かるため扱いやすいのが特徴です。科学や分子構造でつまずきやすい学生にとっても、研究がやりやすいと思います。

食品開発も行ったのですか?

数年前になりますが、我々が試験管レベルで研究を進めていたときに、既に宮崎のJA食品研究所は紫甘しょを発酵させた「紅酢」という醸造酢の食品を開発していました。その紅酢の機能性検討の依頼を受け、共同研究を始めました。紅酢は、紫甘しょからのアントシアニン色素が酢酸発酵によって一部壊れてできた物質が含まれており、それがさらに、色素以上に高い機能性を有していることが判明しました。

また、他のグループと共同で機能性の実験を実施したところ、肝臓機能や高血圧に効くほかに、糖尿病の予防、ダイエットにも効果があることも分かってきました。

紅酢は私の研究室で直接開発を行ったわけではありませんが、研究にかかわった商品が実際にあるということは、私や学生の励みなっています。将来は南九大ブランドの機能性食品を出して、基礎研究がこんなふうに役立つのだということを示したいですね。

食品研究で日本の食文化を見直す

これから南九大を目指す人や先生の下で学びたいという学生に向けて、メッセージをお願いします。

若い皆さんは何もしなくても元気だから、健康への関心はあまり高くないかもしれません。しかし、生活習慣病が日本をはじめ先進諸国の社会的大問題になっています。

明日は我が身かもしれません。「食と健康」は21世紀の日本において非常に大事なテーマだということを日ごろからちゃんと意識してほしいですね。

「食品」、広く言うと「食」は、奥が深く、とても面白い対象です。学習していくうちに、健康維持に非常に優れた日本食を、突き詰めれば日本の食文化の良さを見直すことにもなります。そうした意味でも、科学的-生理学的センスで食と健康の科学的裏づけを追求するこの分野は、とても大事だと思っています。

食品機能(化)学は新しい学問領域です。皆さんのチャレンジを待っています。

学生に聞いてみました。寺原先生の魅力。

原田真一郎さん、蓑田健作さん、生田光一さん、坂本大輔さん

こんなことをやっています。

寺原ゼミの活動内容

寺原先生、テレビ出演!

スパスパ人間学に出演
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