南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

広報誌Seeds
トップページ  >  広報誌Seeds  >  先生!おじゃまします。「地域環境学科・長谷川二郎先生」

先生!おじゃまします。「地域環境学科・長谷川二郎先生」

長谷川二郎教授ツノゴケ類にロマンを感じ、生物多様性に富んだ自然を愛する

環境造園学部地域環境学科 環境植物学研究室
広島県生まれ。中・高を東京で過ごし、鹿児島大学に進学。京都大学大学院時代にライフワークのコケと出会い、博士課程修了後、南九州大学へ。植物の生活と分布、環境植物学実習・演習などの講義を担当。

ツノゴケ類にロマンを感じ、生物多様性に富んだ自然を愛する

最近は環境という言葉に、破壊や悪化が続くことが多いですね。

我々の身の回りにある自然が、おかしくなってきています。たとえば、昔はカブトムシ、クワガタ、メダカなどがいた場所に、今行ってもほとんど姿が見えません。これは、その場所でいろんな生物がいろんな形で生きていける本来あるべき自然、言い換えれば、生物種の多様性に富んだ「豊かな」自然が損なわれてきたということです。

原因の一つは人間の社会的活動による環境破壊、もう一つが外来種の侵入です。動物に関しては「特定外来生物被害防止法」ができましたが、植物でも外来種の影響は深刻で、外来種の侵入防止と、日本の自然に元々あった在来種の保全が重要課題になっています。

研究室ではどんな研究を?

キーワードは「植物の種多様性の保全」です。これからは社会に出てどんな職種に就いても、環境との関わりを無視できない世の中になってきますから、学生たちには植物を通して環境を見る力、考える力を培ってほしいと思っています。

現在、研究室に所属する学生たちは、森林の本来あるべき姿をテーマに調査・研究するグループと、昔は普通にあった在来のタンポポやキキョウなどの野草の分布や生育状況を調べ、帰化植物の影響を研究するグループに大きく分かれています。

先生の専門領域のコケの研究はどんなものですか?

コケ植物は蘇苔類といいます。スギゴケに代表される蘇類が世界中に約1万2千種、ゼニゴケに代表される苔類は同じく8千種ほどありますが、実はもう一つ、ツノゴケ類というグループがあり、これが私の専門です。

ツノゴケ類はまだ正確にわかりませんが、世界にわずか百数十種しかありません。というのも、調査や分類が済んでいない種が、まだ世界中にたくさんあるからです。

日本のツノゴケ類の調査・分類は、私がほぼやり終え、今はアジア・アフリカ産の標本を研究しています。私が研究生活を送れるのは、あと十年ぐらいでしょうが、その間に私自身の研究として、このツノゴケ類の分類だけはやり遂げたいと思っています。

ツノゴケ類のどんなところに興昧を引かれますか?

ツノゴケ類は非常に小さなグループですが、私は植物が進化して約4億年前に水中から陸上に進出した時、最初に陸上に上がった植物の一つがツノゴケ類だと考えているんです。

4億年前の植物の進化をいろいろと考えるのは、ロマンがありますよね。また、ツノゴケ類は藻類とコケ類とシダ類の特徴を兼ね備えているので、昔から研究者の間で注目され、植物は藻類からツノゴケ類、そしてシダ類へ進化したとの説が有力視されていました。

しかし、私はツノゴケは上陸時点からほとんど進化せず、昔のままの姿で現在に残ったと考えています。私の説の方が、現在分かっている事実からすれば合理的だと思っています。

植物や環境について学びたいと考えている人たちにメッセージを。

フィールドでコケを観察していると「何かの役に立つのか」とよく聞かれます。確かにコケがどうなろうと、人間には痛くもかゆくもないでしょう。でも、小さなコケでさえそこで生きていけるのが本当に豊かな自然であり、人間にとっても良い環境であることは間違いありません。

小さなコケも人間も、何億年という進化の歴史を背負って、共に今、生きているわけですから。自然を見るときは、そういう視点を忘れないでもらいたいですね。

ゼミ学生に聞いてみました。長谷川先生の魅力

増田祐子さん、駕屋雄大さん、北井昭裕さん

こんなことをやっています。

長谷川ゼミの活動

長谷川先生のお気に入りのアイテム

ピンクのソファ、リーバイスのジーンズとコンバースのスニーカー
ページ上部に戻る