南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

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先生!おじゃまします。「園芸学科・新谷喜紀先生」

昆虫の生態から生命の神秘を探る プロフィール

新谷喜紀 助教授
Yoshinori Shintani
園芸学部園芸学科
園芸昆虫研究室

石川県金沢市生まれ。東京大学農学部卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員などを経て、2004年に南九州大学に講師として赴任。現在、助教授。趣味は野球と昆虫採集。

園芸昆虫研究室では、どんな研究をしているんですか?

どの大学の農学部にも植物だけでなく昆虫関係の研究室がありますが、昆虫学といっても、「分類」「生態」「遺伝」「害虫防除」など、いろいろな分野があります。この研究室は園芸学部に所属しているので、園芸の部分に関わる昆虫学と考えてください。植物と昆虫は切っても切り離せない関係です。特に「園芸」は収益を上げたり景観を保つことが目的ですから、虫による被害や病気を防がなくてはなりません。

一般的にこのような研究室で行うテーマは「害虫防除」、害虫を食べてくれる「天敵利用」ということになるでしょう。しかしこの研究室では、そのことを視野に入れながら、昆虫の生態を解明する研究を行っています。

私は、害虫を駆除・制御するにしても天敵を利用・保護するにしても、昆虫の生態をきちんと理解していないと効率的に成果を上げることはできないと考えています。例えば、後で話しますが、天敵の昆虫を育てて害虫がいる場所に放したとしても、その時の季節が天敵を眠らせてしまうような環境条件であれば効果は上がりません。逆に言うと、光や温度といった環境条件によって昆虫を「操る」ことができるんです。

先生の研究を貫くポリシーとは何でしょうか。

昆虫の「本当の姿」を知ることです。地球上には100万種類の昆虫がいるといわれます。各昆虫に共通している性質も多いのですが、この一つ一つは全て違います。昆虫たちのことはまだよく分かっていないことが多いのです。

例えば、真冬に昆虫たちはどうしているんだろう? 雪が積もる冬の間、昆虫たちはみんな死んでしまうんだろうか? 実は昆虫は、季節を識別する優れた能力を備えているんです。カレンダーなどなくても、日の出から日の入りまでの時間「日長」の毎日のわずかな変化から季節の移り変わりを予測して、自分の体を調節します。日本など温帯に住んでいる昆虫のほとんどは、厳しい冬を乗り切るために夏の終わりや秋のうちに冬越しの準備に入ります。秋遅くに採集した昆虫は、大抵の場合エサを与えても食べないし、暖かいところに置いてもじっとしています。これは冬越しをするために眠っているんです。このように秋になって短くなった日長を感じ取って眠る現象を「休眠」といいます。私は、この休眠に最も興味を持っています。

私は南九大に来るまで研究機関にいましたが、ずっとこのテーマを追い続けています。なにせ100万種類もいる昆虫たちがみんな違う季節の過ごし方をしていますから、どこに行っても興味ある昆虫たちがいるんです。宮崎だと、フェニックスが次々に枯れる被害が起きていて、その原因はヤシオオオサゾウムシという熱帯から入ってきた昆虫です。さきほどの日長で考えると、彼らは冬も眠りません。なぜなら彼らが生まれ育った場所には冬がありませんから。だから1年中フェニックスを食べて、どんどん増えてしまう。フェニックスをヤシオオオサゾウムシから守るには、まずその虫のことを知らなければ始まらない。こうした研究はとても地味で、時間がかかります。でもそれを誰かがやらなくてはならない。それが自分の役目だと思っています。

これから昆虫のことを学ぼうとしている人たちへメッセージを。

昆虫を研究することが、誰もまだ見つけていない生命現象を解き明かすきっかけになるかもしれません。研究対象は昆虫でも、人に関係のある発見があるかもしれない。昆虫の研究を通して、生命の神秘を知ることができるんです。

たくさんの昆虫がいるように、人間も一人一人違います。それぞれの個性が活かされるような研究ができたらいいですね。

ゼミ学生に聞いてみました。 新谷先生の魅力 先生の部屋でこんなモノ見~っけ! 折り紙の写真

折り紙で作った昆虫

折り紙が得意とは聞いていたものの、出てきた作品を見てびっくり! 一辺が40~50センチの正方形の紙からハサミを使わずに作る昆虫の大きさは手のひらサイズ。紙質や細部にこだわった作品はどれも本物以上の迫力でした。最近はゆっくり折る暇がないのが悩みとか。ゾウカブト(黄)、ノコギリクワガタ(グレー)、ヤシオオオサゾウムシ(赤)


繭の写真

キャンパスで見つけた繭

どちらもキャンパスの植栽を剪定しているときに見つけた昆虫の繭。枝に付いてるのがクスサン(大きな蛾)の繭。カップに入っている方は、折り紙でも作られているヤシオオオサゾウムシの繭。南方から侵入したフェニックスの大害虫で、南九大でも発生している。


栗の幹の写真

クリの樹の幹

ペン立てにしようと思って切ってきたというクリの樹の幹。不規則に並ぶ穴は、どれも裏までポッカリ開いてます。穴を開けた犯人はシロスジカミキリの幼虫。食害された樹も立派なオブジェになっている?!

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