南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

広報誌Seeds
トップページ  >  広報誌Seeds  >  先生!おじゃまします。「造園学科・平岡直樹先生」

先生!おじゃまします。「造園学科・平岡直樹先生」

景観の移り変わりから人と自然の営みを探る プロフィール

平岡直樹 教授
Naoki Hiraoka
環境造園学部造園学科長
地域景観学研究室

1960年徳島県生まれ。南九州大学園芸学部卒。東京の設計会社に勤務後、ベルギーに留学。ブリュッセル大学院で都市計画を学び、帰国後、信州大学で学ぶ。都市緑地計画史で農学博士号を取得。2004年南九州大学へ赴任。

地域景観学研究室では、どんな研究をしているんですか。

この研究室では、地域の景観が何によって構成されているかを調査して分析する、実践的な研究を行っています。地域の景観は、自然と人がつくるもの。一般に、良いと言われる景観は、その眺めに人が価値を見いだしている場所です。「景観」はただそこに存在しているものではありません。その価値に、極めて人間的な物差しが当てられて、初めて成り立つのです。

良い景観がある場所に行くと、自分かとても豊かな気持ちになれるという経験をしたことがありませんか。良い景色を見た充実感や、スカッとする爽快感。そこには、そうさせる要因があります。それを調べるのが地域景観学です。

具体的にどんな調査をするのでしょうか。

いろいろな方法がありますが、現地へ出かけてレーザー・距離計などで測量し、データを集める調査があります。これまで多くの景勝地でデータが集められており、どういう景観が人間に良いイメージを与えるのか、数値で分かるのです。これは展望台を造ったり橋を架けたりする場合に役立ちます。例えば、この位置からの眺めよりもう少し下がったところに展望台を造った方が迫力ある眺めになる、という提案ができるのです。

私がライフワークとしているのは、古い写真と現在の写真を比較する「定点比較」という調査方法です。古い写真を探してきて、同じ場所を撮影します。古い写真がどこから撮影されたのかを特定するのは結構難しい作業です。

例えば、河川が写った写真を見てその場所へ行くと、すでにその景観が無くなっていたり、シャッターを押した場所まで行くことができなかったり。そのようにしながら撮影場所を特定して今の河川風景を撮影し、2つを比較してみると、いろんなことが分かってきます。場所がどう変わったか、シャッターを押した場所はどうかなどです。

昔の多くの河川は、「れき河原」と呼ばれる大小の石がごろごろした河原を持っていました。その後の護岸工事などで各地の河原は失われていき、その代わりに植物や水辺に強い樹木が生えたヤブのある河原が増えています。

私はこうした定点比較写真を、河川保護の市民活動の場で、異世代が話し合う材料として使ったことがあります。石がごろごろした昔の写真を見て「昔の川はよかった」という年配の方に対して、緑が多い今の方がいいという若い世代がいます。どちらがいいという議論ではなく、あくまで話し合う材料ですが、河川空間の再生を図る動きは各地で活発になりつつあります。特に都市部では、緑地空間を活用していくために河川空間は注目されています。そこに心地良い景観をつくるためにも、河川が昔はどう活用されていたかを知り、参考にしていけたらと考えています。

今後やってみたい研究テーマについて、また学生へのメッセージを。

既に調査を行った高千穂峡に引き続き瀑布群がある尾鈴など、宮崎の特徴的な景観を調査してみたいと考えています。

学生には、良い場所を多く見るよう勧めています。それも、強烈な印象を与えてくれる場所がいいですね。私も長野県にいる頃はいつも山の調査に入り、山の奥深くで植物を見たり地形を調べたりしました。入った沢の数は1千以上になるでしょう。

それを重ねていくと、土地が人とどう関わっているか想像力も養われてきます。研究テーマは身近なところにいくらでもあります。人気がある場所にはきっと何か理由があります。

私が研究室の卒論テーマを限定しないのは、「何か」を手探りする過程が大事だと考えるからです。悩むのも悪くないんです。卒論ですから、自分で選んだ好きなテーマに打ち込んでもらいたいと思っています。

student.jpg 先生の部屋でこんなモノ見~っけ! ドアにあってあるカラーマグネットシートの写真

カラフルマグネット

研究室で一番目に留まるのがドアに貼られたカラフルなマグネット。授業で使わなかったマグネットを貼っている、ということだが、インパクトもありとてもきれい。なんとなく、どこかの国旗を思い出させる?


机の上にたくさんのきれいなポストカード

世界を旅するポストカード

先生の趣味は世界の都市の上空から撮影されたポストカード集め。外国の街を訪れるたびに買い足したカードの数は約130枚。先生のお気に入りは、南仏や古い地中海の街並みだそうだ。


mono3.jpg

ブリュッセルの地図

約6年半滞在した、ベルギーの首都、ブリュッセルの地図。よく使い込んであり、いつも持ち歩いていたというのも納得。研究用としてブリュッセルの地図は他にもたくさん持っているとのこと。

ページ上部に戻る