南九州大学は、「食」「緑」「人」に関する基礎的、応用的研究をすすめ、専門分野において社会に貢献寄与できる人材を育成します。

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先生!おじゃまします。「食品健康学科・外山英男先生」

健康に役立つ微生物を育種する プロフィール

外山英男 教授
Hideo Toyama
健康栄養学部 食品健康学科 発酵利用学研究室

1954年宮崎県生まれ。宮崎大学農学部、同大学大学院修士課程で応用微生物学を修め、大阪大学大学院工学研究科博士課程では発酵工学を専攻。工学博士。1989年より南九州大学で教鞭をとる。

発酵に興味を持ったのは?

小学校ぐらいから微生物への興味はありました。醤油や味噌の味が好きで、この味は微生物が作っているんだ、おいしく飲んでいたヨーグルトも乳酸菌というのが作っているんだなと、そのころから意識していたんですね。要するに昔から食べ物に関心があったんですよ。

醤油や味噌、お酒、納豆をはじめ、日本には発酵食品がたくさんありますが、その発祥はほとんどが中国で、日本発祥のものは鰹節ぐらいです。ですから、10年ほど前に学術交流で初めて中国を訪れて以来、中国の食品と食文化にはまってしまいました。

発行利用学研究室では、どんな研究をしていますか?

研究室のテーマは「健康面への微生物利用」で、メインは「細胞工学的手法を用いた微生物の倍数体育種」です。野菜や穀物でも、よりおいしく栄養価が高い、あるいは病気に強く、収穫量が多い品種の開発が行われていますね。ところが、遺伝子工学的手法だと遺伝子組み換えが問題になります。そこで、それが問題とならない、細胞融合とか倍数体作出といった細胞工学的手法を用いて、微生物を育種するのです。

倍数体とは、生物が必ず持っている染色体が複数になったものです。種なしスイカを作るのにも使われているコルヒチンなどの薬剤を使うと、8倍体、10倍体など高次の倍数体を作り出すことが出来て、それは元のものと性質が変わってきます。まず図体が大きくなる。それから酵素の生産力が上がるなど、優れた性質を備えるようにもなります。

これまで、この倍数体育種技術を利用して強いセルロース分解力を持った微生物を作り、バイオマス(生物資源)から効率的にエタノールを取り出す研究とか、大きな「椎茸健康ステーキ」を作る研究を行って、技術面では完成させてきました。現在は、その倍数体の椎茸を健康食品に活かせないかと考えています。アガリクスや霊芝、マイタケなど、キノコ類の有するβ-グルカンという多糖類が、強い免疫強化作用を持つことはよく知られていますが、椎茸はβ-グルカンの一種のレンチナンという物質を持っています。椎茸を倍数化すればレンチナンも増えると考えられますから、それを利用しようというわけです。ただ、レンチナンは水溶性で、野外の栽培だと雨で流れてしまうので、栽培方法も考えなくてはいけませんが。

以上のほか、宮崎キャンパス内で採取した野生酵母でパンを作るとか、発酵食品の歴史なども研究しています。

すぐにも実用化ができそうな感じですね。

バイオマス利用の研究の方は、経済産業省が中心となって実際の生産に向けてのプロジェクトが続いています。椎茸健康ステーキは、商品化はまだですね。

私は、宮崎県内の6大学1高専の教員ネットワークで構成される宮崎TLOという会社の取締役もやっています。この会社は、大学などの研究成果や新技術を産業界に橋渡しするのが目的です。研究が世の中に出て、人々の役に立つようになることを願っています。

学生たちにメッセージをお願いします。

この研究室にはおいしいものを食べたいという動機で入ってくる学生が多いんです。入り口としてはそれで構わないけれど、微生物や発酵の世界はとても奥深くて面白いものを秘めています。自分なりの目標を持ち、若さならではの好奇心や冒険心を持って、勉強や研究に取り組んでほしいと思います。

ゼミ学生に聞いてみました。外山先生の魅力。 先生の部屋でこんなモノ見~っけ! 何冊もの手帳の写真

情報が詰まった手帳の山

「思いついたこと、目に付いたことは何でも書き込む」という先生の手帳は情報の宝庫。肌身離さず持ち歩き、研究のアイデアから、おいしい店の情報まで何でも書き込むのだとか。1年に何冊くらい使うかは「数えたこともありません」。膨大な情報は、パソコンで管理。すぐに検索できるのだとか。恐れ入りました。


壁にかかった中華の額の写真

中華の額

華やかなピンクの額は、学会で中国に行った際、向こうの研究者からもらったもの。「中国は発酵の本場ですよ。カビドウフなんてありますし、肉まんやスープなどおいしいものがいっぱいあるし...」と、おいしいものの話になると止まりません。中国の研究者も、美食家ぞろいで話が盛り上がるそうです。


顕微鏡の写真

蛍光核染色顕微鏡

蛍光核染色顕微鏡とは、蛍光色素で染色した標本に紫外線を照射して、標本から発する蛍光を観察する顕微鏡です。これで倍数体を観察すると、核のあるところが満天の星のように光って、とってもきれいでロマンチック!

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