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日向景修園を視察 ~環境園芸学科造園学分野より報告~

2021年11月25日 更新

11月10日水曜日、造園ガーデニング実習Ⅱにおいて、宮崎県総合運動公園内日向景修園に視察を行い、学生21名、教職員4名、合計25名が参加しました。※もう1つの班は、綾町で行われた、チューリップ苗植栽及びガーデン視察に参加しました。

現地での説明を、一般財団法人みやざき公園協の杉本理事にお願いしました。 今回の視察目的は、主に3点です。

  1. 作庭経緯やコンセプトを知り、実物(庭園)を体感する。
  2. 現在の長所や改善点を探る。
  3. 宮崎県に日本庭園があることを知ってもらう。

1.宮崎県総合運動公園及び日向景修園の概要

宮崎県総合運動公園内は面積139.3ha(所在:宮崎市大字熊野)を有し、宮崎市街地中心部より南に約11㎞離れた位置に立地している。当公園は置県80周年記念事業の一つとして昭和38年に着工し、日向景修園(1万3千㎡)は昭和55年3月に完成した池泉回遊式の日本庭園です。作庭から約40年が経過しています。日向景修園の名前は、庭園内に県内の景勝地を取り入れたことに由来しています。

2.宮崎県総合運動公園建設への理念と特徴

1)建設への理念

宮崎県総合運動公園は、黒木元宮崎県知事(以下、黒木氏と略す)が提唱した「全県公園化」を理念・合言葉として建設されました。 「全県公園化」とは、県内の国立・国定・県立公園などの自然公園や都市公園を地域に増加させ、健全で清潔な観光地づくりを推進し、点状の観光地を線に伸ばして宮崎県全土に広げていく。そして調和のとれた環境美化を推進していく考えです。

理念の基には、経済の促進(県土発展)と自然環境を守り育てる(継続性)こととの二者併進が重要であると考えていました。黒木氏により昭和44年、全国に先駆けて、〈沿道修景美化条例〉が提言されたことも理念の表れといえます。

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かつて正門があった頃の入口風景
2)建設に関する特徴

通常の工事は、計画段階から外部業者への委託が一般的です。本工事では、宮崎県の直営工事で実施されました。理由の一つに経費削減が挙げられます。公園建設及び景修園に使われる樹木は、道路や港湾工事の為、撤去が必要な樹木を移植し活用しました。石材(景石)も同じく、観光振興や災害対策などインフラ整備工事に発生した廃石を石材として利用しました。石材を購入していれば、当時の価格で1億5千万円ぐらい掛かかりましたが、運搬費のみだった為、1千万円掛からずに石材を調達できました。

直営工事二つ目の理由として、景観の地域性を重要視したことです。協議設計・協議施工法を用い、宮崎の人々を中心に工事は進められました。外部業者へ委託した場合、他の場所と似たり寄ったり(地域性に欠ける)景観になってしまうことが、当時は懸念されました。地域の特性を引き出すため、「造園は自然の造形」を基本とし、宮崎の民話・民謡・史跡を設計にアレンジ・反映し、物語のある公園を目指しました。

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移植後のクロマツ状況
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賽の河原石組み状況
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滝石組状況
3)植栽基盤の工夫

運動公園用地は、干拓を埋め立てた敷地の為、排水に気を使う(排水不良)必要がありました。樹木の健全な成長の為に、搬入土は農業試験場での検査を通過した山土の表土に近い部分のみを使いました。また、搬出先にて土取り後の現場測量を行い、搬入土と搬出先が一致するかの確認も行われていたようです。

4)緒方繁二郎

日向景修園の作庭には、石組み及び植栽工事指導として、佐賀県から作庭家・緒方繁二郎(以下、緒方と略す)を招聘しました。主な作庭は、宮崎県日向景修園、福岡県福岡センチュリーゴルフクラブ、佐賀県佐賀カントリークラブなどが挙げられます。緒方は既成の石組みに捕らわれず、自然の景観をベースに習練し、石組みを基本にした構成を好みました。

3.視察状況

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現在、宮崎県総合運動公園では津波避難の高台が建設中です。駐車場から建設状況が確認できた為、杉本氏より高台建設についての説明を受けながら、日向景修園に向かいました。

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日向景修園到着後は、スポット的に景観の説明があったのち、一番の視点場「東家」にて、上記の宮崎県総合運動公園建設への理念と特徴について説明がありました。

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茶室前では、結婚式の前撮り撮影会や和装コスプレでの撮影会など、回遊以外での庭園利用について説明がありました。

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真名井の滝前では、高千穂産の柱状石を使用したこと、沢飛び石の間隔を通常よりも狭めたこと(公共の庭園の為、子供でも安全に利用できる為の配慮として)などの説明があり、園内一周が終了しました。その後、各自で自由に回遊し、視察は終了しました。

  • 宮崎県出身だが、日向景修園を知らなかった。
  • 別の授業で公園・造園施設のコンセプトについて学んだが、コンセプトを聞きながら実物を見学できる良い機会となった。
  • 一度見学したことが、作庭の背景(理念やコンセプト)を知ると、より楽しむことができた。
  • 枯死木が多く、竹垣も修復が必要だ。
  • 実習や課外活動での庭園管理参加ができないか?

学生のレポートからは、作庭背景の重要性や課題の抽出、課題解決への提案などなどが挙げられました。
杉本氏からの豊富な経験と知識を基礎とした説明により、学生の理解度もかなり深まったように感じました。
お忙しい中ご案内いただきました杉本氏に感謝申し上げます。

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~ Gallery ~ 視察の様子
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