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子ども教育学科

綾ユネスコエコパークで集中講義「環境問題演習」を実施

2021年8月25〜26日に、集中講義「環境問題演習」(子ども教育学科 遠藤教授)を、大学と連携協定を結ぶ綾町のご協力により、綾ユネスコエコパークセンターからリモートで実施しました。

この講義は、綾ユネスコエコパークの象徴といえる「国の特別天然記念物 ニホンカモシカ」の保護をテーマとし、様々な立場の方達から、それぞれの考え方や取り組みをレクチャーしていただいたうえで、カモシカ保護のために、よりよい対策を「教育学の視点」から考案し、行動につなげることを目的としています。

同時にこの講義では、SDGs実現のため、ユネスコエコパークにおけるESD(持続可能な社会の担い手を育む教育)の推進と、小学校の教員を目指す学生たちのESDに関する理解とスキルの向上を目指しています。

はじめに、遠藤教授によるSDGsとESDに関するレクチャーの後、綾町教育委員会の井上隆広主査より「文化財としてのカモシカ」、岩本俊孝宮崎大学名誉教授より「カモシカの生態と生息状況」についてレクチャーをしていただきました。

カモシカが文化財で教育委員会が所管していること、カモシカが近年激減していること、など学生たちは初めて聞くことばかりでした。

続いて、本学・非常勤講師でもある綾町の河野耕三専門監より、エコパークに認定されるまでの綾町半世紀のあゆみについてお話しいただきました。

照葉樹林伐採の危機を乗り越え、自治公民館制度を発展させ、有機農業を推進してきた綾町のあゆみが、ユネスコエコパークの理念そのものであることが深く理解できました。

1日目の最後は、遠藤教授によるニホンジカの生態に関する講義でした。人間の影響で増えたり減ったりするシカの生態や、近年のシカの爆発的増加とその原因についても学びました。

2日目午前は、綾町ユネスコエコパーク推進室の河野円樹主査より、綾ユネスコエコパークと綾町の生物多様性地域戦略についてのレクチャーを受けました。
綾町のこれまでの取り組みがエコパークに引き継がれていることが、とてもよくわかります。

午後の前半は、農林振興課の西英敬主事から綾町の森林行政について、宮崎森林管理署・綾森林事務所の原口尚也主席森林官から、国有林の役割と森林施業、鳥獣害対策について学びました。

町民や国民の財産として森林を託されている立場のお二人が、その財産を守るために様々な仕事をしていることを、学生たちは理解することができました。

2日目最後のゲストは、農林振興課の花岡誠さんと綾町猟友会の小西俊一会長のお二人でした。
「鳥獣による農林業被害とその対策」について、花岡さんからは綾町の現状を、小西会長からはワイヤー罠の実物も交えて狩猟の様子をご説明いただきました。

小西会長は、上畑自治公民館館長であり、カモシカ通常調査員でもあるので、いろいろな立場から興味深いお話しをお聞きすることができました。

この講義のゴールは、学生たちが小学校の総合的な学習の時間に実施できる「ニホンカモシカの授業プラン」を立案することです。そのために、学生たちは協働しながら、ゲストティーチャーの方々のお話しから、ひとつのストーリーを紡ぎあげる作業に取り組んでいます。

残念ながら、3日目の現地フィールドワークは、感染症まん延のため延期となりましたので、昨年度の様子をご紹介しておきます。