大学院 研究室紹介

地方から未来を創造する

ジツガク、
No.1へ。

食品科学専攻

食品科学分野

食品分子制御研究室 資源化学研究室 分子代謝制御学研究室 素材応用研究室 食品栄養化学研究室 醸造微生物学研究室 地域食品開発研究室 食品微生物制御研究室 食品機能科学研究室

園芸学専攻

園芸学分野

蔬菜園芸学研究室 環境保全園芸学研究室 果樹園芸学研究室 園芸育種学研究室 資源植物生産学研究室 園芸昆虫学研究室 植物病理学研究室

造園学分野

都市景観研究室 造園計画研究室 ランドスケープ研究室 園芸福祉研究室

食品科学専攻

食品分子制御研究室

中瀬 昌之 教授

– 研究テーマ –

  • 食品アレルゲンタンパク質の遺伝子発現調節機構に関する研究
  • 果実酵素によるアレルゲンタンパク質の低減化に関する研究

食物アレルギーの原因成分を明らかにし、低アレルゲン食品を開発することを目的とした研究を主に行っています。具体的には、アレルゲンタンパク質を作る遺伝子の発現機構がどのように調節されているのか調べたり、植物性食品間で免疫学的に交差反応性を有するタンパク質の解析をするなど、主に分子生物学的な手法によるアレルゲンの解析を行っています。

 

修士論文テーマ

  • 植物由来のプロテアーゼ活性に関する研究(谷 真吾 平成29~30年)
  • ロ果実抽出液による米タンパク質低減化条件の検討(工藤 秀伍 平成23~24年)
  • コメ33kDa-アレルゲン遺伝子の発現誘導因子(坂部 朋美 平成15~16年)
  • 果物アレルゲン相同タンパク質のクローニングと発現解析(辻井 隆幸 平成15~16年)
  • アレルギー関連タンパク質であるメロンキチナーゼ遺伝子のクローニングと発現解析(永田さやか 平成13~14年)

 

 

資源化学研究室

生地 暢 教授

研究テーマ

  • 有用物質産生細菌の探索とその特性に関する研究
  • 有害微生物の動態とその制御に関する研究

 

環境中、特に水圏環境下を中心に、食品や環境に利用可能な活性物質を産生したり、分解したりする微生物資源(細菌等)を探索しています。それから、それらが産生する物質(酵素等)の利用性や有用性について研究していきます。また、環境および食品中に存在する有害微生物(食中毒原因微生物等)の動態を調査し、他の生物資源物質を用いて、環境にも人にもやさしい制御方法を探っています。

分子代謝制御学研究室

紺谷 靖英 教授

– 研究テーマ –

  • 生活習慣病の予防と改善に関する研究
  • 食品機能性成分に関する研究

近年、世界的に肥満者の割合が増加しています。肥満は高血糖・高脂血症・高血圧などの生活習慣病の発症とその増悪に深く関わっています。研究室では肥満を予防・改善するための手段として、食品成分に注目し、その作用機序に関して分子レベルでの研究をおこなっています。

修士論文テーマ

  • 黒ショウガ成分の抗肥満効果に関する研究(永野 利夫 平成24~25年)

 

 

素材応用研究室

矢野原 泰士 准教授

– 研究テーマ –

  • 宮崎県産水産物を活用した加工食品の開発
  • 農産加工品の風味改善技術の開発

当研究室では、食品を加工する際の保存性や栄養価だけでなく、食品のおいしさを重視した研究を行っています。また、食品ロスの削減に貢献することを目的として、水産物加工残滓や規格外野菜の有効利用法についても検討しています。 
 全国的に、「地域ブランド商品」の開発などを目指した取り組みが行われ、食品加工分野の研究が注目されていますが、南九州大学発の「ブランド食品」の開発およびそれらの機能性評価などに取り組んでいます。

食品栄養化学研究室

竹之山 愼一 教授

– 研究テーマ –

  • 食品の栄養素やおいしさ、機能性を科学的に見える化(数値化)するための研究

南九州地域、とくに宮崎県で生産される各種動物性食品(肉・乳・卵)を中心に、それらの栄養素や機能性成分、食品の美味しさ、食した際の柔らかさなど、みやざきブランドアップに貢献できるような研究を遂行しています。食品副産物の有効利用を目的としたバイオリサイクルによる、食品副産物を飼料として給与しそれらから生産される動物性食品の栄養・機能性の評価や、食品の付加価値向上について研究しています。

修士論文テーマ

  • 競争力のある肥育牛生産体系の開発に関する研究(山内 南 令和3 年~4年)
  • 宮崎県産畜産食品の栄養特性の解明と発育・肉質に及ぼす各種要因解明に関する研究
    ~牛・豚のブランド化に向けての各種検討~(松本 朋子 平成27年~28年)

  • 新規なカビ発酵食肉製品の開発および機能性について(川越 聖人 平成27年~28年)
  • 宮崎県産畜産食品の栄養特性の解明と、発育・肉質に及ぼす各種要因解明に関する研究
    ~豚・地鶏のブランド化に向けての各種検討~(川北 久美子 平成26年~27年)

  • 宮崎県産畜産食品の栄養特性の解明と、発育・肉質に及ぼす各種要因解明に関する研究(関谷 果林 平成25年~26年)

醸造微生物学研究室

岡崎 善三 教授

[準備中] 

地域食品開発研究室

吉本 博明 教授

– 研究テーマ –

  • 六次産業化による地域食品素材を利用した新規商品開発

当研究室では、地域の食材を使った、新規食品の開発をおこなっています。例えば、国産小麦パスタ、パン、日向夏ケチャップなどユニークで地域創成につながる開発をおこなっています。

 また、きのこの機能性研究に永年携わっており、きのこの機能性を増強する栽培方法の開発もおこなっています。

食品微生物制御研究室

長田 隆 教授

– 研究テーマ –

  • 食品の殺菌技術に関する研究

令和4年に開設した新しい研究室です.

この研究室では,食品企業との共同研究を中心に行っています.多くの製品の微生物制御は,加熱殺菌のみで行われているものが多いのですが,さまざまなハードル理論(ハードル理論とは:水分活性,pH,静菌剤,保管販売温度など・・・)を組み合わせた制御を考えることで,より確実で効率的な殺菌条件の検討研究に取り組んでいます.

院生インタビュー

マネジメント力やリーダーシップも培われます

私は、微生物について関心があり、食品安全学研究室に所属し、研究を進める中で、研究の面白さを感じ、大学院へ進学しました。
大学院での生活は、これまでの学部生活とは違って、研究に打ち込める日々を送っています。修士での研究では、自分で研究計画書を作成し、先行研究や研究手法、研究意義等を見出すことは難しいですが、その研究に取り組み、新たな知見を得られることは醍醐味だと思います。また、学会での発表や論文投稿を行える機会があるため、大学院での2年間は大変貴重な時間であります。
大学院生は研究ばかりのイメージがありますが、学部生の卒論研究の指導なども行います。指導にあたって、後輩にどのような能力を身につけて欲しいか、そのためにはどのように後輩を指導するかなどのマネジメント力やリーダーシップも培われます。より専門的な知識や技術を修得したい人や研究が好きな人、自己を成長させたい人は是非、大学院への進学をお勧めします。

池田 直樹さん


おいしさ向上と微生物学的安全性の保たれた製品を作る

私の研究は、宮崎県の飲料会社と共同し、主要商品の日向夏ジュースをさらにおいしくするための研究をしています。ジュース製造時の加熱殺菌は、消費者が安心して喫食するために必要不可欠ですが、一方で、色や香り、フレッシュ感を低下させる要因でもあります。これらの「安全と品質」の最適なバランス問題を微生物学的な視点から突破するため、日々見えない敵と戦っています。具体的には、(1)日向夏搾汁中の細菌芽胞の分布(汚染度)を知る(2)酸性飲料の変敗原因菌として有名な細菌芽胞(Alicyclobacillus属細菌)の日向夏果汁中での発育挙動を知る(3)「安全と品質」の最適なバランスを保つための加熱殺菌条件の検討の3つです。“彼を知り己を知れば百戦殆うからず”のように、原料由来の変敗原因菌のリスク評価をし、これらリスクをなくす(加熱殺菌条件)ができれば、おいしさ向上と微生物学的安全性の保たれた製品を作ることができ、さらには別の商品への応用も可能となります。

内田 丈聖さん


修士論文テーマ

  • 日向夏搾汁工程における耐熱性細菌芽胞の汚染度調査および果汁中でのAlicyclobacillus属細菌の発育挙動と加熱殺菌条件の検討(内田 丈聖 令和4年~)
  • ロングチルド食品の変敗原因菌Paenibacillus odoriferに対する食品添加物の静菌効果(池田 直樹 令和4年~)

 

 

食品機能科学研究室(令和5年度開設)

永田 さやか 准教授

– 研究テーマ –

  • 食品由来の機能性ペプチドの探索と応用研究

食品廃棄物からペプチドを抽出し、降圧作用や抗菌作用などを有する機能性ペプチドを探索しています。将来的には、機能性ペプチドの健康食品や医薬品への応用を目指しており、食品廃棄物の削減にも取り組んでいます。また、ペプチドは、プロテアーゼによって分解されるため、分解されにくく、体内で利用しやすいペプチド誘導体の開発も行っています。(令和5年度開設)

 

園芸学専攻

蔬菜園芸学研究室

陳 蘭庄 教授

– 研究テーマ –

  • 宮崎在来野菜の復活・振興とその利活用に関する栽培・育種学的研究

  • アポミクシスの生殖様式解明とその応用に関する細胞学的ならびに分子生物学的研究

ローカル的な立地に根差して、宮崎在来野菜の利活用とその品種改良・育成を、栽培・育種学的手法によって行っている。一方、グローバル的な視点から、人類の食糧危機を回避するため、F1の固定や栄養繁殖植物から種子繁殖への転換が期待されるアポミクシスの研究に着手して捕捉した関連遺伝子の機能解析を行っている。

修士論文テーマ

  • 宮崎在来野菜「糸巻き大根」系の新品種育成とその普及に関する栽培・育種学的研究(土師 丈太郎 令和2年 ~ 3年)
  • 宮崎在来野菜「佐土原」ナスの品種改良~種間交雑による雑種個体の獲得およびその育種学的解析~(吉村 和人 平成 29年 ~ 30年)

  • 宮崎発のメロン育種に向けてのアプローチ~品種間交配による雑種系統の作出と育種素材の探索~(小森山 翔太 平成 29年 ~ 30年)
  • アポミクシス性特異的遺伝子ASG-1の機能解析~イネとギニアグラスの組換え体作出の試み~(豊元 大希 平成 28年 ~ 29年)
  • 宮崎県在来野菜「日向カボチャ」の品種改良における育種学的および園芸利用学的研究~和洋種間雑種後代の自殖法による優良系統の育成~(岩本 優衣 平成 28年 ~ 29年)
  • 宮崎県在来野菜「佐土原」ナスの品種改良における生理学的ならびに育種学的研究(比恵島 伴和 平成 28年 ~ 29年)
  • 接ぎ木法を用いたサツマイモの種子生産とエレクトロポレーションによる種子への直接遺伝子導入(升岡繫 平成 27年 ~ 29年)
  • 宮崎在来野菜‘糸巻き大根’における集団選抜法による新品種育成に関する研究(中畑 裕太郎 平成 26年 ~ 27年)
  • 宮集団選抜法及びHEGS・RAPD-PCR法を用いた宮崎在来野菜『糸巻き大根』の品種改良に関する育種学的研究(田中 祐樹 平成 22年 ~ 24年)
  • 宮集団選抜法及びHEGS・RAPD-PCR法を用いた宮崎在来野菜『糸巻き大根』の品種改良に関する育種学的研究(後藤 健治 平成 23年 ~ 24年)
  • 宮崎在来野菜ナス品種「佐土原」の復活に関する生理学的及び育種学的研究(石井 修平 平成 22年 ~ 23年)
  • アポミクシス性特異的遺伝子(ASG-1)の機能解析~甘しょ『黄金千貫』を中心とした組換え植物作出に向けての試み~(西村 佳子 平成 22年 ~ 23年)

 

環境保全園芸学研究室

山口 健一 教授

– 研究テーマ –

  • 生物機能を生かした栽培環境の保全

  • 外来雑草の生理生態の解明と制御

合成農薬や化学肥料に過度に依存した慣行農業の改善を目的として、ICM(総合的作物管理)など環境と調和した園芸生産に関する実験科学的な研究を行っています。自然界から有用微生物、とくに病害虫・雑草の防除に有効な糸状菌を分離し、その機能解析を実施しています。また、侵略的外来雑草の定着及び繁殖に関わる生理生態的な要因を解明し、制御方法への応用を図ります。

院生インタビュー

農業用微生物技術を習得して専門職

私は、本学の修士課程を修了後、種苗会社での海外輸出入に関する業務を経て、東南アジアのブルネイで微細藻類の大量培養に従事してきました。修論研究では、「植物と微生物の相互作用」について学び、特に雑草に共生している糸状菌の取り扱いや解析手法を習得しました。院生時代には、共同研究を通じて学内外の研究者や学生達との交流も経験できました。また、国際学会(中国・杭州)での発表も経験し、社会に出てから臆することなく海外での仕事に挑戦することができました。
現在は日本に帰国し、大学発のスタートアップ企業で微細藻類の開発に従事していますが、この春からは沖縄に移って、引き続き微細藻類の培養研究に携わります。自身の更なるスキルアップとして博士号の取得にもチャレンジしていきます。

藤田 匠さん(平成25年度修了)


教員専修免許を取得して農業教諭

大学院の修了で取得した教員(高校・農業)の専修免許をいかして、出身地の兵庫県で農業教諭をしています。大学院では、「外来雑草の生理生態」について学び、野外調査と温室試験、解析実験を繰り返すハードな毎日でした。そのかいあって、ベトナム・メコンデルタでの水生雑草の調査に加わったり、カナダ・モントリオールの国際学会やアメリカ・フロリダのワークショップに参加しました。当時は拙い英語力で四苦八苦したことを覚えていますが、大学院では専門知識や研究手法だけではなく、グローバルな視点を身に着けることができました。
いま兵庫県立農業高校の園芸科で教鞭をとっていますが、座学の講義だけでなく、大学院での学びをいかして、農場実習や農業クラブ指導を通して実践的かつ先駆的な農業教育を目指しています。

清水 彩さん(平成20年度修了)


修士論文テーマ

  • カヤツリグサ科クログワイの生物防除に資する糸状菌の性状(蔵田 翔 平成 27年 ~ 28年)
  • ヒユ科ナガエツルノゲイトウの増殖因子に関わる生理生態的研究(藤田 匠 平成 24年 ~ 25年)

  • 外来水生雑草カナダモの防除微生物の探索(川添 亮平 平成 22年 ~ 23年)
  • 宮崎県木カナリーヤシの衰退防止に有効な内生菌の探索(太田 薫 平成 22年 ~ 23年)
  • 南九州における水田雑草のIWM(総合管理)に関する研究(宮崎 博之 平成 21年 ~ 22年)
  • 外来水生雑草ボタンウキクサの制御に関する研究(清水 彩 平成 19年 ~ 20年)
  • 逸出雑草イタドリの生物的制御に関わる有用糸状菌の探索(中村 友二郎 平成 18年 ~ 19年)
  • 宮崎県におけるカナリーヤシの衰退とその対策(尾崎 大佑 平成 17年 ~ 18年)
  • カナリーヤシの立枯れ病原微生物Fusarium属菌に関する研究(金子 雄亮 平成 17年 ~ 18年)
  • Helminthosporium用いたアゼガヤの生物的制御に関する研究(六信 舞子 平成 17年 ~ 18年)

 

果樹園芸学研究室

前田 隆昭 教授

– 研究テーマ –

  • 熱帯・亜熱帯果樹類に関する生理・生態の解明

近年、地球温暖化が進行しており、温帯果樹類の産地が北上しています。そのような中、本研究室では、熱帯・亜熱帯果樹類を導入し、生理・生態の解明に関する研究および熱帯・亜熱帯果樹類の品種特性の把握を行っています。また、南九州に適したマイナー果樹類の研究も行っています。

院生インタビュー

好きな物に関する知見を深め、それに全力で打ち込める2年間

私はパッションフルーツの研究をするために大学院に進学しました。
熱帯果樹はマンゴーやバナナをはじめとして、カカオやコーヒー、アボカドなど私たちの生活を豊かにしてくれるものが多くあります。私の研究しているパッションフルーツもそれらの植物と同じように、多くの可能性を秘めていると考えています。
普段の大学院生活では、講義を受けたり、論文を読んだり、研究室で扱っている植物の管理をしています。研究室の学生らと試行錯誤しながら育てた植物に花が咲き、実を結んだ時にはこの上ない喜びを感じます。
植物相手の研究はまわりの環境に左右され、上手くいかない時もあります。しかし、大学の先生方や研究先の農家さんに助言を頂きながら研究を続け、新しい発見をした時には舞い上がるような気持ちになります。
好きな物に関する知見を深め、それに全力で打ち込める2年間は、何ものにも変え難い、一生の宝物になるはずです。皆さんの努力や熱い想いが実を結ぶよう、ささやかながら願っております。

金城 彩夏さん


修士論文テーマ

  • パッションフルーツ‘サニーシャイン’の開花パターンおよび果実品質について(仮)(金城 彩夏 令和 4年 ~ )
  • アボカドの収穫適期の把握および着花におよぼす生理学的研究(小畠 和真 令和 元年 ~ 2年)

  • サンショウ苗木の早期育成に関する研究(大岩 幹明 平成 29年 ~ 30年)
  • ポポーの生理生態に関する研究(宮原 尚太 平成 29年 ~ 30年)

園芸育種学研究室

杉田 亘 教授

– 研究テーマ –

  • 園芸作物新品種育成技術に関する研究 

  • 育種素材の探索

  • 病害虫抵抗性育種

  • 遺伝様式の解明と育種への利用

本研究室では、「園芸作物新品種の育成のためのバイオテクノロジー研究」を行っています。

具体的には、交配育種を基本技術として「葯培養などの組織培養」や「分子マーカー育種」などの新技術を活用し、効果的かつ効率的な育種技術の開発・品種育成に取り組んでいます。

また、いろいろな遺伝資源を積極的に導入し、それらを利用した形質(例えば、病害虫抵抗性や果実色、果実形など)の評価、遺伝様式の解明、育種への利用などにも取り組んでいます。

各種遺伝資源を利用した有用形質の評価および新品種の育成
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)
による被害
MAS利用のための遺伝様式の解明
およびDNAマーカーの開発

資源植物生産学研究室

廣瀬 大介 教授

– 研究テーマ –

  • フラクタル解析を用いた作物根系の構造と分布様相の解明

作物根系は、単に地上部を支えているだけではなく、養水分の吸収をはじめ生育に重要な役割を担っています。本研究室では、幾何学の解析方法の一つであるフラクタルを用いて作物根系の構造と分布様相を明らかにし、このことから、より生産性の高い作物を栽培する方法を得ようと試みています。

園芸昆虫学研究室

新谷 喜紀 教授

– 研究テーマ –

  • 昆虫と植物や微生物との関係の解明

  • 外来昆虫や南方性昆虫の生活史の解明

  • 昆虫の保護利用および有害昆虫の駆除に関する研究

  • 食用昆虫の増殖

昆虫生態学研究室では主として昆虫の生理・生態に関連した基礎的・応用的な研究を行っています。研究テーマは、大学内で見つけた昆虫の行動からヒントを得て始めたものや地域に密着したものなど多岐にわたります。いずれの研究でも、丹念に野外調査や室内実験を行うことが必要です。昆虫の生理・生態を明らかにすることは、学問としてはもちろん、環境保全や害虫防除を適正な方法で行うために重要です。近年は希少種の保護や害虫の食用昆虫利用などの応用面での成功を目指しています。

院生インタビュー

夏から秋には毎日のように畑に出かけて採集を行いました

私は、持続可能な社会の実現に向けての環境と調和した園芸や農業に関心がありました。園芸や農業で植物を栽培すると必ず害虫の問題が出てきますが、化学農薬だけに頼った害虫防除は弊害がたくさんあります。化学農薬の使用を控えた害虫防除法に「天敵の利用」があります。その中でも、害虫に寄生する寄生バチの働きが注目されています。キャンパスのある都城市は日本有数の畜産都市であり、特に飼料用トウモロコシを食害する外来の害虫に注目して、その昆虫に対する寄生バチの探索と見つかったハチの生態の解明を行いました。夏から秋には毎日のように畑に出かけて採集を行いました。野外に研究材料がいなくなる時期は、データ整理や学会での発表の準備をしました。後輩たちとともに活動をすることもある2年間は、新鮮な発見がたくさんあり、忙しくも充実した日々でした。

村田真輝さん


修士論文テーマ

  • Spodoptera属の2種のガ類の低温耐性および日本本土における蛹越冬の可能性に関する研究(林田 敦士 令和 3年 ~ )
  • ツマジロクサヨトウの寄生性天敵の探索及びタバコアオムシチビアメバチの生態に関する研究(村田 真輝 令和 3年 ~ 4年)

  • キボシカミキリ幼虫の絶食蛹化に関する生理生態学的研究(関谷 詩苑 平成 27年 ~ 28年)
  • キオビエダシャクの越冬生態に関する研究(加藤 慶一 平成 23年 ~ 24年)
  • マメハンミョウの環境適応能力に関する研究(寺尾 美里 平成 21年 ~ 22年)
  • 捕食性カメムシ類の生態的特徴の解明(渡辺 富美也 平成 20年 ~ 21年)
  • ブチヒゲクロカスミカメの飼育法と生活史に関する研究(田島 潤一 平成 20年 ~ 21年)
  • ラミーカミキリの生活史の実験的解明(宮原 亮平 平成 19年 ~ 20年)
  • 過変態昆虫マメハンミョウの幼虫の休眠性と成虫の集合性(廣瀬 譲 平成 19年 ~ 20年)

植物病理学研究室

菅野 善明 教授

– 研究テーマ –

  • 蔬菜・果樹・花卉に発生する病害の病原体の同定・診断法の確立

  • 植物の病原体に対する拮抗微生物の探索・利用

植物に新たに発生した病害、発生が知られているが病原体が明らかにされていない病害の病原体を分離し、形態観察や接種試験、遺伝子解析を行い、病原体の同定を行うとともにその病原体の遺伝子診断法の確立に取り組んでいます。また、病原体に対する拮抗微生物の探索・同定、生物学的防除方法の確立に取り組んでいます。

修士論文テーマ

  • ラナンキュラス(Ranunculus asiaticus L.)から分離されたPotyvirusの研究
    -ウイルスゲノムの構造解析および棒情報の確立に向けた試み-(中村 琢也 平成 23年 ~ 24年)
  • トルコギキョウから分離されたトンブスウイルスの一次構造解析およびそのRT-LAMP法による簡易遺伝子診断法の確立(中島 航介 平成 23年 ~ 24年)
  • 本邦におけるRanunculus Leaf Distortion Virusの発生確認および簡易遺伝子診断法の確立(細川 秀子 平成 26年 ~ 27年)

都市景観研究室

平岡 直樹 教授

– 研究テーマ –

  • 景観や風景に関する研究

  • フランスをはじめ欧州の都市計画、景観政策、緑地空間などを科学的に分析、解明

都市域から農山村部、自然環境まで広範囲にわたる景観を研究の対象域としての景観研究を行なっている。また、フランスをはじめとする西欧諸都市の都市空間、造園空間を対象として、計画の手法や景観を演出する制作者が適用した視覚効果技術の解明をすすめ、現代でも空間創造時において実践的に応用可能な技術の再発見、再検証を行っている。

修士論文テーマ

  • 住宅庭園景観の色彩構成と計器による色彩測定の有効性(植田 緑 平成 20年 ~ 21年)
  • 景観計画における住民参画に関する研究~宮崎県綾町における住民の景観に対する意向調査を中心として~(小松 恒輝 平成 19年 ~ 20年)

造園計画研究室

関西 剛康 教授

– 研究テーマ –

  • 日本庭園史と近代ランドスケープの利用等に関する研究

研究室では、以下の主に2つのテーマについて研究をしています。第1として、日本庭園史の新たな解明について、古文献や古写真、現地調査等を基に研究をしています。この成果は、日本文化の深化や観光促進などの社会的意義を有しています(関西教授は文化庁の名勝委員会委員)。第2として、都市空間における都市公園等を対象に、利用方法やその効果、課題解決等について研究しています。この成果は、まちづくりの持続可能な社会形成に寄与します。

院生インタビュー

中国でも高齢化が進んでいます

私は中国からの留学生です。中国でも高齢化が進んでいますが、大学院では、高齢者の健康と生活の質を向上させることを目的として、「都市公園における高齢者の健康遊具の利用に関する研究」をテーマに研究をしています。

私は大学院生活を通じて、新しい知見や経験を得ることから、日々研究の魅力と楽しさを実感しています。自分の研究テーマに関連する研究論文に目を通し、現地調査やアンケート調査を通じて情報やデータを収集しています。このプロセスで、都市公園における高齢者のニーズや期待、そして健康遊具の選択と利用実態について日々理解が深まっています。

また、学術イベントに参加する機会があり、(公財)日本造園学会九州支部大会では、自らの研究に関するポスター発表する機会もありました。これらのイベントは、私に専門領域の知識を深める機会を与えてくれます。

大学院で学ぶことで、より多くの知識を獲得し、スキルを向上させ、自分の夢やビジョンを実現するための成長の機会とそのプラットフォームを得ています。

任 多さん(中国出身)


修士論文テーマ

  • 都市公園における高齢者の健康遊具の利用に関する研究(任 多 令和 4年 ~ )
  • 慈照寺の癒し庭園景による心理的・生理的な効果に関する研究(王 金陽 令和 2年 ~ 3年)

ランドスケープ研究室

岡島 直方 准教授

– 研究テーマ –

  • 文学・絵画などの表現媒体から見たランドスケープ
  • 緑地・環境 ランドスケープの仕組みと成り立ちの調査
  • 自然主義の緑地空間、 人と緑の関係を追求
  • 建築と造園との融合に関する理論と手法の研究

明治時代以降、雑木林という題材のとりこみについて、文学や絵画が造園を主導したようすを解明した。同様な展開ができれば良いと思っている。ランドスケープに関する情報を集め整理してあるべき形につなげたい。山林の風景は、敷地所有者がもつ個別の事情から作られても、平野部に住む人々にとって背景となる風景を提供して影響を与える。共有風景に影響を与える特徴的な風景の仕組みや成立について明らかにする。自然と人工とのあいだには程よい距離感があるはずであり、歴史の中にそれを探ったり、空間の中にそれを示したりする。建築と造園の相乗効果や融合について研究する。

園芸福祉研究室

林 典生 准教授

– 研究テーマ –

  • 植物が人間そのものや社会に与える影響に関する研究

  • 福祉の増進を目的とした園芸実践活動に関する研究

コミュニティガーデンや園芸療法等も含む園芸福祉に関連する理論及び実践に関わる研究を行っており、(園芸)植物やそれを取り巻く環境だけではなく、人間そのものや社会システムをも取り扱う学問上境界領域を有しており、面白いがかなり勉強し続けないと難しいところがあります。特に、これらの複雑な現象に対して、この分野の研究に関連する多種多様な手法を用いた上で、どんな人に対しても理解できるように、しっかりと根拠をもって言語化するために取り組んでいます。