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環境園芸学科

「ドクターウッズ(樹木診断システム)講習会」を行いました

 3月5日金曜日に都城キャンパスで、環境園芸学科が主催する「ドクターウッズ(樹木診断システム)講習会」が行われ、学生や教職員34名が参加しました。

ドクターウッズとは

 ドクターウッズとは、高周波の音波を用いて樹木内部の空洞や腐朽を画像化(見える化)する機器です。日本に13台のみしか販売されず、西日本には2台のみの保有状況です。用途として、巨木や老木の詳細診断や伐採などに関わる正確な情報の把握や提供が挙げられます。

 講師として、ドクターウッズを用いて、街路樹や民間の樹木を診断している、大信産業(広島県尾道市)緑化部の樹木医2名を招聘しました。

 講習会は、1.講義/危険木とは?(危険木の定義や倒木事例、ドクターウッズを使用する背景)。2.ドクターウッズを用いた樹木診断。3.校内樹木の点検。の講義と実技両方を体験できる3部構成で行われました。

1部.講義・危険木とは?

 1部.講義・危険木とは?では、どのような状態が危ないのか?その原因は?どうすればその原因を防げるのか?などを、仕事で携わった事例を交えて進みました。加えて、松枯れとクビアカツヤカミキリについての紹介がありました。クビアカツヤカミキリは、平成30年1月に特定外来生物指定された外来種の昆虫です。主にバラ科樹木を中心に食害し、関東・中部・関西・四国での発生が報告されています。九州での報告はありませんが、要注意の外来種です。

2部. ドクターウッズを用いた樹木診断

 2部. ドクターウッズを用いた樹木診断では、学内のクスノキとモミジバフウに対して、ドクターウッズを用いて内部の状況を確認しました。

機器のセットの仕方や、本来は精密診断前に行う外部診断のポイントも同時に行いました。解析後、パソコンに内部画像が現れると、参加者から驚きの声があがりました。

樹木内部が、硬さにより色分けされ表示されるので、樹木診断経験未経験者でも一目で空洞や腐朽の存在がわかります。今回は、両方の樹木で健全部と空洞/腐朽部との違いが見られました。画像の状況から、幹内部に腐朽部と思われる箇所が確認されたものの、幹外側健全部がしっかりしている為、倒木の危険は低い。という解説を得られました。

3部. 校内樹木の点検

3部. 校内樹木の点検では、学内の樹木を対象に、ルートカラ―(根張り)の有無、腐朽の入り具合や剪定跡の確認、穿孔性害虫食害跡の確認など、予防や対処を交えて進みました。

総括

総括として、危険木を防ぐために、①正しい植栽(植栽間隔/深植え・盛り土をしない/適切な樹種選定)をする。②正しい管理(適切な時期・位置での剪定/病害虫の防除)をする。③定期的な診断をする。という3点が挙げられました。いずれも経済面から軽視や曖昧になりがちですが、重要な事項です。

学生の講習会参加者は、造園緑地実験Ⅰ(2月下旬~3月上旬開講)の受講者が多数参加してくれました。本授業は、事前調査や回復施工立案時に行う「樹勢調査」や「植栽基盤調査」の基礎を体験します。樹木医学講義の実践的位置付けでもあります。次年度夏季に予定されている造園緑地実験Ⅱでは、樹勢調査から回復施工までを体験します。講習会に参加した学生がどのように授業に取り組むのか今から楽しみです。

本講習会は、学生の講習会での取り組みや終了後のアンケートからも、有意義な講習会となりました。来年も是非開催したいと考えています。