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環境園芸学科

【昆虫生態学研究室の研究】南方性の侵入害虫の生態に関する論文が掲載されました

環境園芸学部環境園芸学科の昆虫生態学研究室で行ってきたサツマイモの害虫のヨツモンカメノコハムシの研究が、昆虫学の専門誌の一つ、Applied Entomology and Zoologyに掲載されました。

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近年、日本で見つかる外来生物の報告が増えていますが、昆虫類においてはその分布拡大のスピードがすさまじく速いという特徴があるようです。ヨツモンカメノコハムシは、一見テントウムシのような小さなコウチュウ目ハムシ科の昆虫です。ヒルガオ科の植物のみを寄主植物とし、雑草(ヒルガオ類やノアサガオなど)だけでなく、アサガオやサツマイモを食害します。東南アジアや南西諸島などに分布する南方性の昆虫でしたが、日本本土には20世紀末に初めて九州に侵入したとされています。
本学キャンパス移転(高鍋町から都城市への移転)に伴い、研究室が移転する直前の2009年頃には、宮崎県高鍋町のサツマイモ畑で、この昆虫を見かけることはありませんでしたが、当時同県都城市にはすでに生息していたことから、少なくとも10年ほど前は九州でも発生は局地的で、全域に分布していることはなかったと考えられます。しかしその後、瞬く間に九州全域、四国や本州にも分布を拡大していき、2020年現在、関東地方南部でも生息が確認されています。掲載された論文では、ヨツモンカメノコハムシの季節的な生活環を調節する仕組みを明らかにしており、成虫で越冬して、春に繁殖のため産卵を始め、九州南部では1年に最大で3世代発生するとしています。また、温暖化の影響によりさらなる分布の拡大や世代数の増加が考えられる上、より寒冷な地域へ適応した生理的な機構を獲得する可能性を指摘しています。

※ヨツモンカメノコハムシはヒルガオ科植物だけを寄主とする「狭食性」で、雑草の中では、ノアサガオ(=リュウキュウアサガオ)に最も発生が多いようです。このノアサガオも、熱帯や亜熱帯原産の 外来種で、日本本土では園芸用に導入されたことがきっかけとなり拡がったようです。ノアサガオは、 九州南部では道路脇や林の周辺などいたる所に繁茂しており、夏から初冬まで紫色の大きな花を咲かせます。